Tuesday 18 July 2006

野田秀樹 The Bee

ロンドンに住んでて、時々日本の舞台が来るとついつい見に行きたくなります。
応援したい、というのもあるけど、違った環境にいる自分が日本からのものをどう感じるんだろう、という興味の方が強いかな。

たまたま、野田英樹の新作がロンドンで上演中というのを発見して、行ってきました!
世間の注目は野田英樹が初めて英語で台本を書いた、ってところにあるらしいのですが、私は芝居よりダンス、芝居を見てても言葉より視覚タイプ。
しかし!それでもこの The Beeはかなり満足しました。良い舞台を見るとこんなにも満たされた気持ちになるんだなー、と久々に思いました。最近,舞台とか芸術って何の為にあるん じゃい?とかちょっと思ってたんだけど。土曜の夕方に見て,現在火曜の朝。まだ美しい感覚が残ってます。。。

って,作品自体は美しい作品じゃなくて,かなり狂ってて,ちょっと生々しい,血なまぐさいお話なのだけど。

私が美しいと思ったもの。

垣間見える心のひだ。
表情。顔の表情,身体の表情,声の表情。。。ちょっとした表情がいっぺんに私の個人的レベルまで届いて,一瞬にしてその人の置かれている状況,感じてることがわかってしまう。
こんなに純粋でパワフルなコミュニケーションってないよな,と思う。

多分これが究極の「舞台上で見たいもの」なんだけど、それを効果的に浮きだたせる演出も達人技。こういう繊細なものを立て続けに見せても,お客さ んは麻痺しちゃうからね。もっとドタバタとしたものでエネルギーをあげて,舞台をかき乱して。。そんな中にひょっと個人的な表情を見ると,何とも強い印象 になる。

舞台上の時間の流れを操作するのも同じような効果がある。早送りの時とスローモーションのときには違うものを見せられてる。早送りの時はおおざっぱな印象,エネルギーとダイナミクス。スローの時はもっと心のひだ,かな。


たぶん普段自分が踊っているときにそんなことを考えているので,芝居見ても同じようなことを考えちゃうんでしょうね。
けど,そんなもしかしたら偏ってる見方をしても,本当にしっかり満足しちゃいました。

こんなすばらしいものを作り出す演出家,ダンスならコレオグラファー,にはまだまだ慣れそうもないので,パフォーマーとしてそうゆう美しい瞬間をつくりだせる人になりたいなぁ,とちょっとやる気を出しました。

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