Thursday 11 November 2010

コラボレーション: collaboration

日本で活動する舞踏家のびよさんとのやり取りから「コラボレーション」について考えたこと。

日本でいう「コラボレーション」というのは,双方が対等の場合なのでしょうか?

イギリスでいう"collaboration"はちょっとあいまい。
例えば,振付家の指示のもと振りを創ったり,インプロした場合− collaborationという。
振付家がステップを創ってダンサーに振り写しをした場合− collaborationとはいわない。

私がダンサーとして誰か振付家と作業した場合,基本的に,創ったものに対して私自身の署名が入っている,私ならではの何かが投入されていると思えば,collaborationと呼びたい。

でも,同じ場で,振付家はcollaborationと思っていないかもしれない。ダンサーはあくまで,振付家の指示することをやっているだけ。

そうゆう場合,問題が生じるんです。それで,ロンドンの著名振付家と著名ダンサーは絶交したという話があります。

近年,ダンサーの役割,ダンサー自体の創作性がどう作品作りに反映されるか,という議論は多く,徐々にダンサーの創作性が認識されつつあります。

Collaborationというのはお互いの関係に対する意識を反映する言葉でしょう。

Collaborationという言葉は,双方の関係が上下関係のある縦関係でなく,対等な横関係の場合に使われるのでしょう。それぞれの専門分野での経験や知識を尊重しあい,かつ自分の立場から意見を交換する。

私自身も最近"Fragments"と"I'm Here"という二つのcollaborationの作品を創りました。"Fragments"は版画家と。"I'm Here"はサウンド・アーティストと。コラボレーターとの関係はそれぞれ全く違うものになりました。

例えば,サウンド・アーティストとコラボレーションした場合,ダンサー振付家が音楽家に頼んでオリジナルの音を創ってもらうような,かつての一方向性の依頼ー納品という関係とは違う関係が求められているでしょう。コラボレーションの場合,お互いの対話の中で質問,提案,確認,却下しあいながら,お互いに影響を与えつつ,作品をつくって行くことになります。

私はこれをするから,あなたはあれをする,ということではなく,「一緒に」絡み合いながら作業するイメージがあります。

結局は意識の問題なのでしょう。
意識の上で横関係,対等ならば,collaborationと呼ぶ,というのが私の現在の定義です。

No comments: